Webサイトを運営している方なら、「SEOの内部対策」という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。その中でも特に重要な役割を果たすのが、今回解説するcanonicalタグです。
「重複コンテンツがあるけど、どうしたらいいの?」 「canonicalタグって設定した方がいいの?」
このような疑問を持つ方は少なくありません。canonicalタグは、正しく使えばサイトのSEO評価を大きく向上させる強力なツールですが、使い方を間違えると逆効果になるリスクも潜んでいます。
この記事では、canonicalタグの役割から正しい設定方法、そして設定すべき具体的なケースまで、SEO初心者の方にもわかりやすく徹底的に解説します。あなたのサイトのSEO内部対策を加速させるヒントが、きっと見つかるはずです。
SEO内部対策におけるcanonicalタグの役割とは?
canonicalタグが解決する「重複コンテンツ問題」
重複コンテンツとは、Webサイト内で「URLは異なるが、ほぼ同じ内容のページ」が複数存在している状態を指します。
なぜこのような重複コンテンツが発生するのでしょうか?主な原因は以下の通りです。
- URLのバリエーション:
https://www.example.com/
とhttps://www.example.com/index.html
のように、同じページでも異なるURLでアクセスできる場合。 - ECサイト: フィルター機能や並び替え機能を利用した際に、パラメータ付きURL(例:
https://www.example.com/items?color=red
)が生成される場合。 - PC・スマホ版サイト:
pc.example.com
とsp.example.com
のように、デバイスごとに異なるURLで運用している場合。
検索エンジンは、これらの重複コンテンツを別々のページとして認識してしまいます。その結果、本来集まるべきページの評価が分散し、検索順位が上がりにくくなるという深刻な問題が発生します。
canonicalタグの基本的な仕組み
canonicalタグは、このような評価の分散を防ぐために「このページは、このURLがオリジナル(正規URL)ですよ」と検索エンジンに伝えるためのタグです。
タグを設定することで、重複コンテンツのページから正規URLへと評価を集中させることができます。これにより、検索エンジンはどのページをインデックスし、どのページに評価を与えるべきかを正確に判断できるようになり、SEO効果を最大化できます。
canonicalタグの正しい設定方法と記述例
canonicalタグはHTMLの<head>
セクションに記述します。設定方法は非常にシンプルです。
HTMLでの記述方法
基本的な記述形式は以下の通りです。
HTML
<link rel="canonical" href="正規URLの絶対パス">
rel="canonical"
: このタグが正規URLを指定するものであることを示します。href="正規URLの絶対パス"
: **https://**から始まる完全なURLを記述します。相対パス(/page.html
など)は使用しないようにしましょう。
記述例: https://mcot.jp/seo-tactics/internal-seo/canonical
を正規URLとしたい場合
HTML
<head>
<title>重複ページ | MCOT</title>
<link rel="canonical" href="https://mcot.jp/seo-tactics/internal-seo/canonical">
</head>
WordPressでの設定方法
WordPressでサイトを運営している場合、SEOプラグインを利用するのが最も簡単な方法です。
- All in One SEO Pack / Yoast SEO: 投稿・固定ページ編集画面で、各ページのcanonicalタグを簡単に設定できます。基本的にプラグインが自動で適切なURLを指定してくれますが、重複コンテンツ対策として手動で変更することも可能です。
canonicalタグを設置すべき5つのケース
具体的にどのような場合にcanonicalタグを設定すべきか、代表的なケースを見ていきましょう。
1. パラメータ付きURL
ECサイトやアフィリエイトなどで、以下のようなURLが自動生成される場合があります。
https://www.example.com/item.html?utm_source=...
https://www.example.com/items?sort=price_asc
これらはユーザーの利便性を高めるために必要な機能ですが、検索エンジンにとっては重複コンテンツと見なされる可能性があります。正規URL(https://www.example.com/item.html
)にcanonicalタグを設定することで、評価を集中させることができます。
2. PC版とスマホ版でURLが異なる場合
最近ではレスポンシブデザインが主流ですが、PC版とスマホ版でURLを分けているサイトもまだ存在します。
- PC版URL:
https://www.example.com/item/
- スマホ版URL:
https://sp.example.com/item/
この場合、スマホ版のHTMLにPC版のURLを正規URLとして指定します。 <link rel="canonical" href="https://www.example.com/item/">
3. 複数のカテゴリに属する同一記事
ブログなどで、一つの記事が複数のカテゴリに属する場合、カテゴリの数だけURLが生成されることがあります。
https://www.example.com/category-A/article/
https://www.example.com/category-B/article/
このような場合も、メインとなるURLを正規URLとして指定し、評価を分散させないようにしましょう。
4. ECサイトの色違い・サイズ違い商品ページ
一つの商品に対して、色やサイズが異なるページを複数作成している場合も、重複コンテンツと見なされる可能性があります。
https://www.example.com/item/blue-shirt
https://www.example.com/item/red-shirt
特にコンテンツが写真や商品名程度で、説明文がほぼ同じ場合は、代表的なURLを正規化するのが効果的です。
5. A/Bテストを実施するページ
Webサイトの改善のためにA/Bテストを実施する場合、テスト用のページURLが複数生成されます。
https://www.example.com/lp-A/
https://www.example.com/lp-B/
この場合、元のURLを正規URLとして指定することで、テストページの評価が分散するのを防ぐことができます。
canonicalタグと301リダイレクトの使い分け
どちらも「正規URL」を伝えるための手段ですが、役割が異なります。
項目 | Canonicalタグ | 301リダイレクト |
主な目的 | 評価の集約(重複コンテンツの正規化) | URLの転送(ページの移転) |
ユーザーの挙動 | ページに留まる | 自動的に転送される |
検索エンジンの扱い | 「このページは、このURLがオリジナルです」とヒントを与える | 「このページは、このURLに恒久的に移動しました」と強制的に伝える |
適切な利用シーン | ・URLを変えずに評価を集中させたい<br>・重複コンテンツが存在する | ・ページのURLを変更したい<br>・旧URLにアクセスしたユーザーを新URLに転送したい |
ユーザーに重複ページを訪問してほしくない場合は301リダイレクトを、URLは残しておきつつ評価だけを統一したい場合はcanonicalタグを使いましょう。
【MCOT独自視点】canonicalタグは「解決策」ではなく「管理策」
canonicalタグは非常に強力なツールですが、**あくまでも「重複コンテンツを管理するためのツール」**という認識を持つことが重要です。
- 根本的な解決策は「重複させないサイト設計」:
- そもそも重複コンテンツが生まれないような、論理的でシンプルなURL構造を目指しましょう。
- ユーザーにとって、どのページが最も価値があるのかを考え、そのページにすべての情報を集約する設計を心がけることが、SEOの最も基本的な考え方です。
canonicalタグは、やむを得ず重複コンテンツが発生してしまった場合の**「最終手段」や「補助的なツール」**として捉えるのが、正しい使い方です。
まとめ|canonicalタグを正しく理解し、SEO内部対策を加速させよう
canonicalタグは、SEOの内部対策において見過ごせない重要な要素です。
- 役割: 重複コンテンツの評価を正規URLに集約させる。
- 設定方法: HTMLの
<head>
内に<link rel="canonical" href="正規URL">
を記述する。 - 注意点: 301リダイレクトとの違いを理解し、適切なシーンで使い分ける。
今回の記事を参考に、あなたのサイトのcanonicalタグ設定を見直してみてください。正しい知識を持って設定することで、サイトのSEO評価は確実に向上します。